葛饅頭
夏になると思い出すのが、若狭小浜にある老舗・伊勢屋さんの葛饅頭です。子供の頃、JR小浜駅から母方の祖父母宅を訪れる途中にこの店があり、家族で毎回のように立ち寄っていました。ここの葛饅頭はほんのりした甘さで、とても柔らかく滑らかな口当たり。「水饅頭」とも呼ばれるとおり流水で冷やされていて、暑い中でもひとときの涼が楽しめたものです。シャンバナの自然食品店で葛粉を見つけたので、当時を思い出しながら作ってみました。(調理時間:約30分。冷却時間を除きます)
材料(4個分)
漉し餡 | 100 g |
葛粉(葛100%) | 30 g |
砂糖(グラニュー糖) | 50 g |
水 | 200 mL |
手順
- 湯飲み茶碗のような丸底の耐熱性容器を4つ並べておきます。この器ごと入るような蒸し器を用意しておきます。
- 餡を4等分して丸め、手のひらで軽く押しつぶしておきます。
- 小さなボウルに水を入れ、砂糖を加えてよく溶かします。さらに葛粉を加えて溶かし、目の細かい漉し器で裏漉しします。
- 3を耐熱性容器に入れ、電子レンジで30秒間加熱し、へらでよくかき混ぜます。続いて15〜20秒間加熱してよく混ぜ、カスタードクリームのようなぽってりとした固さを持つ半透明の生地にします。
- 4を直ちに1の器に4等分して流し入れ、その中央に2の餡玉を沈めて、水で濡らしたゴムべらで葛生地の表面を平らにします。
- 5を容器ごと蒸気の上がった蒸し器に並べ、葛生地が透明になるまで7〜10分間ぐらい蒸します。
- 水をはった大きなボウルを用意しておき、蒸し上がった饅頭を器ごと水中に沈めて冷やし固めます。
- ボウルごと冷蔵庫で冷やしておき、食べる直前に器から取り出して、皿に盛ります。
メモ&アレンジ
- 葛の味は水に大きく影響されるので、できるだけ美味しい水を使って下さい。また、漉し餡も市販のものより甘さを控えた手作りの方が、繊細な味わいの葛によく合います。フルーツなどを入れる場合も、淡泊な味のものがよく合うと思います。
- このレシピの葛饅頭はとても柔らかくしてありますので、葛粉の量を加減してお好みの固さにして下さい。もし市販品の葛粉がその他の澱粉との混合粉ならば、分量を加減して生地の固さを調整して下さい。葛粉が無くて、タピオカ澱粉を代用する場合も同様です。
- 日本では、便利な「水饅頭の素」という葛粉と粉末寒天などの混合粉が市販されているようです。
- 手順4では、加熱しすぎたり生地が不均一に固まったりしないように、容器の中身の状態をよく観察して下さい。電子レンジの代わりに、小鍋を使ってコンロで加熱することもできます。
- 木製のせいろの場合は蒸気が抜けるので大丈夫ですが、ガラスや金属製の蒸し器の場合はふたから露がしたたり落ちるので、ふた全体を布巾でくるんで露止めをしておいて下さい。
- 葛桜を作ることもできます。この場合は、水を60〜80mL、砂糖15〜20gぐらい減らして、葛生地をやや固く少なめにした方がよいでしょう。約20cm四方のラップフィルムを4枚と、ひもまたは針金を4本用意して下さい。手順4の葛生地を4等分してラップの上に丸くのせ、丸めたまま押しつぶしていない餡玉をその中央にのせます。茶巾絞りのように包んで、ラップの絞り口をひもや針金などでくくり、手順6から8に従って下さい。できた葛饅頭を塩漬けの桜葉で包んで、できあがりです。
- 添加物のない葛饅頭は変質しやすいので、翌日以降になると白く濁ってきて風味も損なわれてしまいます。できるだけ早くお召し上がり下さい。